人生は誰かの犠牲や無償の愛で構成される。
その普遍的な恩恵をレスターは姉から受け取った。
しかし姉が捧げたのは自らの命だった。
返す事のできないその恩恵を彼はメロディに変換する。
姉から受けたその無償の愛を。
ファイナルファンタジー外伝として1991年に発売された聖剣伝説。(*1)
その作中、ジャドの町で流れるBGMです。
ジャドの町は初めは暗めのBGMが流れていますが、町を支配するデビアスを倒すことでこのBGMに変わります。
あらすじ
ジャドの町には吟遊詩人のレスターが暮らしていました。
ある日、ジャドの町はデビアスによって支配されてしまいます。
デビアスの支配から暫くして、レスターの姿が見えなくなります。
レスターの姉アマンダは、レスターがデビアスによって囚われの身である事をつかみます。
アマンダはレスターを助けるためにメデューサの血を求め、砂の迷宮に向かいます。
砂の迷宮で追いついた本編の主人公もアマンダから事情を聞き、メデューサの血を手に入れるため共闘します。
しかし、メデューサを討つも血は一滴も残りませんでした。
失意の中、アマンダに異変が起こります。アマンダは戦いの中でメデューサの毒に侵され、毒によりメデューサとして目覚めようとしていたのです。
人としての意識が薄れゆく中、アマンダは自身を殺し、血を弟に使うように主人公に懇願します。躊躇する主人公はその願いをため、刃を向けます。
「許せ…アマンダ…」
ジャドの町に戻った主人公はアマンダの血を使ってレスターを解放します。
解放されたレスターは姉の無念を晴らすべくデビアスに戦いを挑みます。
無事、デビアスを討ったあと、ジャドの町に静寂が訪れます。
「ぼくはこの町に残って、またハープを弾き続けるよ。姉さんが安らかに眠るように…」
主人公との別れ、この台詞を残した後、BGMがスタートします。
曲情報
全体的に寂しげな曲調ですが、面白いところが2つあります。
1つ目は反響音です。
一音なると直後に一つ低い音が流れます。リバーブとは異り、あえて、もう一つの音が鳴ります。音を反響させることで、寂しげな雰囲気が緩和します。
ちなみにリメイク版(新約 聖剣伝説)でこの反響音が無いため寂しさが増します。
2つ目はテンポです。
寂しげな曲調の時は遅めですが、後半メロディでキーが上がると、それに合わせてテンポが上がります。感情の抑揚に沿ったような感覚になります。
姉を失った寂しさを乗り越えて、気丈に振る舞い、人生の再スタートをするレスターの心情と非常に重なっている曲だと思います。
ちなみこの曲は作中でここでしか使われない曲になります。
おそらくですが、この部分のストーリーで書き下ろした曲なのだと思います。
思い出ポロポロ
当時、フィールド画面と戦闘画面が分かれたRPGしかやっていなかったので、フィールド内で武器を振り回して、戦闘する方法は新鮮でした。
その弊害として、作中アマンダから血を手に入れるところでは、プレイヤー自身が武器を振り起し、アマンダにとどめを刺す必要があります。
そういったこともあって記憶にとどまる曲になったのかもしれません。
2003年にはリメイクした「新約 聖剣伝説」が発売。(*1)
2017年にはNitendo Switchで「聖剣伝説コレクション」にて、当時の作品が遊べるようになっています。(*1)
気になった方は、聴いてみては如何でしょうか。
参考情報
*1 聖剣伝説 〜ファイナルファンタジー外伝〜 - Wikipedia
*2 KEIのお城とゲームの写真館 聖剣伝説
思い出補完のため参照