「神様は、人間を完璧に造る事も出来たんだけど…
そうすると人間達はお互いに助け合わなくなっちゃうから…
だからこの大天使様たちは翼が一つずつなの。
飛ぶときはいつも一緒なんだよ。」
「傷もてるわれら 光のなかを進まん」は1998年に発売されたRPGゼノギアスの舞台である、宗教国家ニサンの大聖堂で流れる曲です。
本作は実際にプレイする世界に至るまでの背景がとても深く、そして難解です。
オープニングでその世界を匂わせるムービーが流れ、プレイ後半において徐々にその成り立ちが明かされていきますが、それでも難解です。(*1)
その大きな世界観だけではなく、プレイ中に登場するキャラクターの心情や時代背景、各組織の攻勢なども緻密に描かれています。
また、ストーリーだけではなく、当時のRPGとしてはあまりない要素も組み込まれていました。
例えば、戦闘シーンにおいてのコマンド入力や街中/ダンジョンにおいては、3Dマップ・視点の変更・ジャンプできたり、と。
当時としては、かなりのチャレンジングな作品だったのではないかと思います。
本曲は、幽閉されていたニサンの大教母であるマルグレーテ・ファティマ(愛称:マルー)が帰郷した際に、主人公と訪れた大聖堂で流れる曲です。
この大聖堂では、片翼の天使像が2体が祀られており、片方が男性的でもう片方が女性的に作られています。互いに補うことで、救いがあり、困難に立ち向かうことができると、直感に理解できるような造形になっているのだと思います。それを補足したのが冒頭のセリフで、マルーが発した言葉になります。
さまざまな困難を乗り越え、わずか、16歳でニサン大教母となったマルーのそのセリフは、幼いながらに直感的で芯を貫く言葉となっています。
実はこの曲はコーラス調に仕上がってますがパイプオルガン調の曲もあります。
曲名は「祈り、人の望みの喜びよ」です。
おそらく曲名はJ.S.バッハの「主よ、人の望みの喜びよ」の意識したものだと思います。
ただ、同じ曲なので「傷もてるわれら 光のなかを進まん(オルガンVer)」でもいいような気がしますが、本作(ゲーム本編)に合わせた曲名だったのか、作曲した光田 康典さんで悩まれた結果なのかもしれません。
「傷もてるわれら 光のなかを進まん」も何かの曲名や聖書などの引用なのかと調べてみましたが、調べ当てることはできませんでした。。
※どなたかご存知でしたらおしえてください。
ちなみにゲーム曲はイベント曲以外(ダンジョンとか町とか曲)はループされるため、OSTだと2回繰り返しでフェードアウト、で収録されることが多いですが、「傷もてるわれら 光のなかを進まん」は1回で終わりになってます。
※「祈り、人の望みの喜びよ」は2回繰り返しです。
理由は不明ですが、Diskに収まりきらないのでそうしたのではないかと考えてます。(*2)
なぜ、人は曲を聴いて感動し・涙するのか、それは人が持つ創造力という神から享受した力なのか。
作品の神秘性と相まって、理屈ではなく本能で感じ取ることができる、神曲ではないかと思います。
*1 複数回プレイしても理解は難しいかもしれません。スクウェア公式ゼノギアス設定資料集である「Xenogears PERFECT WORKS the Real thing」を読んでも完全な理解には至りませんでした。
*2 CD1枚の収録時間が74分になります。
「傷もてるわれら 光のなかを進まん」が収録されたDisk1は72:47で「傷もてるわれら 光のなかを進まん」が1回で1:56あるため、2回繰り返すと、74:43で収まりません。
Disk2 71:18で、余裕がありますが、Disk1曲の最後の曲を「蒼き旅人」3:12をDisk2に移すと、Disk2 74:30でオーバー。
どうにか調整して、2枚構成にするため、このような構成になったのではないかと勝手に推測しています。
Xenogears Original Soundtrack - Wikipedia