ふるさと納税の結果として、控除額の確認方法について調べてみました。
また、所得が確定した後で、控除上限額を計算し、どれくらいまで寄付できそうだったのかも調べてみました。
※注意事項※
・執筆時時点(2023年3月)時点での情報になります。
・素人が調べた結果なので参考程度にしてください。
■寄付金控除額の確認方法
「住民税決定通知書(*1)」から確認できます。
「摘要欄」を見ると「寄付金控除額」として、「市民税」、「県民税」が記載されてます。
これがふるさとの納税の控除額です。
例)「摘要欄」の記載金額
市民税 26,399円
県民税 17,599円
ちなみに、ワンストップ特例制度を利用した場合は、上記金額が控除額の全額となりますが、確定申告をした方は、一部所得税から控除されているため、差額が発生します。
確定申告した場合の差額は下記計算で求める事ができます。(*2)
<所得税控除額の計算(確定申告した場合)>
(計算式)所得税控除額 = (ふるさと納税の合計額-自己負担金額)×「所得税の税率(*3)」×「復興特別所得税の税率」
(例)5,002円 = (51,000円-2,000円)×10%×1.021%
※小数点以下切り捨て
「例)「摘要欄」の記載金額」で紹介した金額は確定申告している金額ですので、上乗せし、控除金額を計算します。
例)確定申告した場合の寄付控除額
市民税控除額 26,399円 ※摘要欄
県民税控除額 17,599円 ※摘要欄
所得税控除額 5,002円 ※計算
合計 49,000円 ※寄付金控除額
■控除上限額内だったのか
寄付金控除額から簡易的にチェックすることができます。
(ふるさと納税の合計額-自己負担金額)が寄付金控除額と同額であれば、控除上限額内になります。
(ふるさと納税の合計額-自己負担金額)が寄付金控除額が多い場合は、控除上限額以上に寄付しており、損をしています。
<控除上限額の確認計算>
(計算式:控除上限額内)
ふるさと納税の合計額-自己負担金額 = 寄付金控除額
(計算式:控除上限額超過)※必要以上に寄付してしまっている。
ふるさと納税の合計額-自己負担金額 > 寄付金控除額
例:控除限度額内)51,000円-2,000円 = 49,000円
例:控除上限額超過)70,000円-2,000円 > 49,000円
■控除上限金額の計算
ふるさと納税の控除上限金額を計算する前に個人住民税所得割額の計算します。
<個人住民税所得割額の計算>
(計算式)個人住民税所得割額 =(課税所得×所得税の税率)-調整控除額(*4)
(例)295,900円 = (2,984,000円×10%)-2,500円
※控除調整額の計算はややこしいため補足(*4)にて記載します。
個人住民税所得割額計算後、下記計算式で上限を計算することができます。(*5)
<上限金額の計算:(3)住民税からの控除(特例分)>
(計算式)ふるさと納税の合計額 = 個人住民税所得割額×20% / (90%-所得税の税率(*3)×復興特別所得税の税率)+自己負担金額
(例)76,170円 = (295,900円×20%)/(90%-10%×1.021)+2,000円
76,000円 ※計算結果から3桁まで切り捨て
合計51,000円までふるさと納税をしましたが、実際には76,000円までであれば、控除を受けられる範囲でふるさと納税できた計算になります。
要は、あと25,000円まで寄付できた、という結果になりました。
■最後に
今回ふるさと納税の結果について効果測定をしてみました。
割といい金額を寄付しているので、控除されていないとかなりの痛手かと思います。
この点、控除されていることが確認できて安心できました。
また、控除上限額の計算した結果、まだまだ寄付できたと思うと、少し勿体なかったかなと思います。
ただ、結局は、その年で寄付できる金額は所得が確定してからで無いと判別できませんので、ふるさと納税をするときの目安としては、やはりポータルサイトで試算するのが1番でしょう。
答え合わせが必要であれば参考にしてもらえればと思います。
■補足
(*1)住民税決定通知書について
正しくは「給与所得等に係る市民税・県民税 特別徴収税額の決定通知書」になります。
(*2)確定申告した場合の差額について
ふるさと納税をした場合、寄付金額から、下記3区分の名目で控除がされます。
(1)所得税からの控除
(2)住民税からの控除(基本分)
(3)住民税からの控除(特例分)
つまり、寄付した金額は(2),(3)の区分で住民税が控除され、(1)で所得税で控除される形になっています。
(1)所得税の控除は、確定申告の結果をもって所得税の金額から差し引かれるわけですが、確定申告をしていない人はこの控除が受けられません。
そこでワンストップ特例制度を利用した場合に関しては、(1)所得税の控除分は住民税として上乗せして控除する形になっています。
そのため、ワンストップ特例制度を利用した場合、住民税控除として「住民税決定通知書」で控除全額を確認することができます。
(参考)総務省|ふるさと納税のしくみ|税金の控除について
ふるさと納税ワンストップ特例の申請を行った場合、所得税からの控除は行われず、その分も含めた控除額の全額が、翌年度の住民税から控除されます。
また、確定申告の場合の所得税控除については下記計算式で計算することができます。
(寄附金額-2千円)×所得税の税率×1.021
(*3)所得税の税率の確認方法について
所得税の税率は各種所得控除した結果の金額(課税対象所得)を元に確認します。
※ 課税対象所得は「住民税決定通知書」の「総所得」欄からも確認できます。
あとはその金額をもとに所得税の税率をしらべます。
所得税の税率は国税省のサイトから確認します。
(参考)No.2260 所得税の税率|国税庁
例)総所得2,984,000円だった場合
「1,950,000円 から 3,299,000円」の枠になるので所得税は「10%」になります。
(*4)調整控除額について
配偶者控除や扶養控除などの人的控除と呼ばれる控除について住民税では
所得税と比べると差額が発生するそうです。
その差額を下記計算で計算し、住民税の総額を減額する仕組みになります。
・課税所得が200万円以下の場合
「人的控除額の差の合計」または「課税対象所得」のいずれか小さい金額の5%
・課税所得が200万円超えの場合
「人的控除額の差の合計額 - (住民税の課税所得金額-200万円)」の5%
ただし、この金額が2500円未満の場合は一律2500円。
例)課税所得が200万円超えの場合
・「人的控除額の差の合計」
-基礎控除 2,400万円以下 5万円
その他人的控除がないため、5万円。
-50,000 = 50,000(2,984,000-2,000,000)×5%
2500円となる。
(参考)人的控除額の差に基づく負担増の減額措置(調整控除)/滑川町
(参考)和光市/税額控除について
(*5)ふるさと納税の上限額について
ふるさと納税の控除額の種類は上限は3つありますが、その中で一番、控除額が低いものが上限となります。
(1)所得税からの控除
(ふるさと納税の合計額-自己負担金額)×「所得税の税率」×「復興特別所得税の税率」=寄附金額が総所得金額等の40%
(2)住民税からの控除(基本分)
(寄附金額-自己負担金額)×10% = 寄附金額が総所得金額等の30%
(3)住民税からの控除(特例分)
(寄附金額-自己負担金額)×(90%-所得税の税率×1.021)= 控除額が住民税所得割額の20%
(1),(2)の上限は総所得金額の30%,40%と大きな金額ですが、
(3)の上限は「住民税所得割額の20%」のため、金額として少ない金額になります。
そのため、実質的にふるさと納税の上限額の計算は「(3)住民税からの控除(特例分)」になります。
(参考)和光市/ふるさと納税の上限額の計算方法